TOEICのスコアダウンは気にするな【スコアの誤差についての検討】

TOEIC

TOEICの結果発表日になると、ツイッター上には得点発表投稿ツイートが溢れかえります。
英語アカウントとしてツイッターを使用されてる方にとっては恒例の、いわゆる「祭」と呼ばれるイベントですね。

英語猛者が多いツイッター上では満点の報告を見かけることも度々あり、僕も毎回の「祭」に刺激を受けて、TOEIC満点を目指してチャレンジしているところです。
また得点に関わらず、努力が結果に繋がって「得点が上がった」という報告を見ると「自分も負けられないぞ」と気持ちが引き締まります。

しかし試験とは簡単にはいかないもので、望み通りの結果が出る人もいれば、不満の残る結果に終わる人も当然います。
「あれだけ頑張ったのにスコアが下がった」などの報告を見るのは、こちらまで残念な気持ちになります。

そういうスコアが下がってしまった人、或いは下がらないまでも期待したほどの成果が出せなくて落ち込んでいる人に対して、どうしても伝えたいことがあります。
それはタイトルの通りTOEICのスコアダウンは気にするな!ということです。

これは精神的な意味合いだけではなく、TOEICはテストの性質上、スコアの上下動がどうしても起こるものだからです。今回はその理由を詳しくお伝えします。
スコア700以下ぐらいの人が対象です

TOEICのスコアが上下動する理由

この理由はもう当たり前ですがTOEICが四択のマーク式だからということです。

答えが分からなかった問題、読む時間が足りなかった問題は、恐らく皆さん好きな番号を一応マークしておくはずです。後者は特に「塗り絵」と呼ばれる行為ですね。

この「塗り絵」行為こそがスコアの上下動の最たる原因です。というのは、運次第で正当数がかなり変動するからです。

運でスコアが多少は変わるというのは皆さん感覚的には理解されてると思いますが、今回は実際にどれぐらい変動するのかを詳しく検討していきたいと思います。

TOEIC700点の中身とは

では具体例として、スコア700点の内訳を詳細に見てみましょう。
細かい説明を読むのが面倒であれば、まとめの表だけご覧ください

公式問題集の換算表によると、700点達成にはLR合わせて140~150問の正解が必要になるようです。

素点とスコアの関係は受験した回の難易度や受験者の平均正解率で変動するらしいですが、計算しやすいように「L70問、R70問正解で700点」として話を進めていきます。

では「この正答率で700点を達成した人が、正解した140問を全て完璧に理解して選んだのか?」と問うと、答えは絶対にNOでしょう。
(分からなかった問題は全て潔くノーマークで出しているなら話は別ですが、そんな人いるんでしょうか?)

LRそれぞれ70問正解のうち、自信を持って答えを確定させられたのは恐らく50問ぐらいのはずです。
確定はさせられないけど3択か2択までは絞って勘で選んだもの、塗り絵してたまたま正解したものなどを合わせて70問正解になっているはずです。

具体的に検証するために、自信を持って選んで正解したのが50問とします。
残りの50問のうち、半分の25問は2択まで絞れて、25問は完全に勘で選んだとしましょう。

ここで正解が確率通りにいけば
2択 「25問×50%=12.5問→約13問」
4択 「25問×25%=6.25問→約7問」

になり、(ちょっと乱暴ですが)端数を切り上げるとそれぞれ13問、7問正解になって全体でちょうど70問正解になります。簡潔にするために3択になったケースは無視しましたが、それを入れても似たような数字になります。

ということで、「確実に正解出来る問題が半分あれば、残りは勘で選んでも運が良ければ到達できるのが700点というスコアになります。

そして今回の問題は、この運が良ければの部分になります。

ご存じの通り、いつの時でも人間の運というのは確率通りにはいかないものですからね。

運によるスコアの上振れ・下振れ

麻雀やパチンコ、あるいはカードゲームのような、確率が絡む遊戯には上振れ・下振れという用語がよく使われます。実際の確率以上に良い結果が多く出ることが上振れ、その反対が下振れです

例えば当たる確率が50%のくじ引きを10回すると、確率通りにいけば5回当たって残りは外れるはずです。ではこのゲームを100人がプレイしたら、全員が5回当たりになるのかというと、そんなわけないですよね。運良く7~8回当たる人もいれば、或いは2~3回しか当たらない人も当然出てきます。

このゲームで6回以上当たるのが上振れ、4回以下しか当たらないのが下振れということになります。
さすがに10回全て当たったり外れたりは滅多にないと思いますが、7回当たったり3回しか当たらなかったりはそれほど珍しいケースではないはずです。50%の当選確率に対して、上下20%ぐらいのブレは頻繁に起こりうると考えてよいと思います。

では、これがTOEICで起こるとどうなるでしょうか。

先ほど考えたスコア700点のケースで、幸運による上振れが起こった場合を考えてみましょう。
2択では+20%、4択では+10%の上振れがあったと仮定すると
2択 「25問×70%=17.5問→約18問」
4択 「25問×35%=8.75問→約9問」

となって、勘で塗った部分で27問の正解。先ほどの確率通りの正解数よりも7問アップで全体としては77問の正解となります。これがLRの両方で起こるとトータルの素点は154点。800までは届かないものの、700後半ぐらいまでスコアが伸びることは十分あり得ます。

逆に下振れが起こったと考えてみましょう。確率の変動は上振れと真逆で計算してみます。
2択 「25問×30%=7.5問→約8問」
4択 「25問×15%=3.75問→約4問」

となり、勘の部分の正解数は12問。全体の正解数は62問となり、確率通りのときより8問ダウンになります。トータルの素点は124点となり、スコアは良くても600中盤ぐらい。どう考えても700には届かないスコアになってしまいます。

まとめると

これぐらいが上振れ・下振れ時の現実的な振れ幅かと予想できます。
連続して受験して、「ちょっと不運→ちょっと幸運」程度に運が変わっただけで、素点は10点ぐらい、スコア20~30点は軽く変わるでしょう

実力が上がっても得点は下がりうる

運次第で得点が50点程度は軽く上下することはご理解いただけたと思います。もはや20~30点の変動は誤差と思っても差し支えないでしょう。全く勉強せずに、前回と同じ実力のまま受験しても、30点ぐらい上がったり下がったりは何も珍しくないということです。

そして留意しておいて頂きたいことが
実力は上がったのにスコアが下がる
という可能性も大いにあることです。

TOEICのスコア700の人が勉強して、LRそれぞれで狙って正解出来る問題が50問から5問増えたとしましょう。700点を取った回は、上で計算した確率通りの運になったとします。
そして実力が上がって次のテストでは55問は自信を持って正解出来たのに、その回は運が悪く下振れを引いてしまったとすると
2択 「25問×30%=7.5問→約8問」
4択 「20問×15%=3問」

と、残りの45問で正解が11問になり、全体の正解数は66問になります。
これは確率通りの運で700点を取った時より、LRのそれぞれで4問ダウンとなってしまいます。

結果、本来なら実力によって全体の正解数が10問増え、50点ぐらい上がるはずのところが、実力とは関係ない運の部分で10問以上正解数が減り、実力が上がったのにスコアは下がったという事態が起こってしまいます。

下がるまではいかないにしても
実力が上がったのにスコアが伸びない
ぐらいは確率的にも頻繁に起こりうるでしょう。

運に左右されない本当の実力を知りたいなら
1:「複数回、最低でも4~5回は受験して、その平均を自分のスコアとする」
2:「確実に答えが分かる問題以外全て空欄で提出し、運要素を一切排除する」
ぐらいしかないかと思います。

しかし、1の案は全く同じ実力のまま複数回受け続ける必要があります。でも複数回受けるなら、普通は次の試験までにしっかり勉強して実力も上がっていくはずなので、現実的な案ではないです。実力の変動と運の変動が同時に起こった場合、どちらが原因かの特定はほぼ不可能でしょう。

2の案は真の実力を知るという目的では悪くない手段かと思いますが、普通に受けたときよりほぼ確実にスコアは下がるのでシンプルに勿体ないです。勘でも何でも塗り潰しておけば、ベストスコアを更新出来る可能性があります。
何ならTOEIC本番で配られる「受験者のしおり」に「答えに迷った場合どれか1つにマークすることをお勧めします。最後の問題までマークするように心がけてください」って書いてありますしね。

スコアは高くなるほど安定する

上に記したのは、スコアが700点の場合で計算していますが、スコアが更に上がってくると受験回による変動は少なくなってきます。スコアが高いほど狙って当てられる問題が増え、勘で答える問題が減ってきますからね。
800点ぐらいの人だとラストの塗り絵は15~10問以下になってるはずですし、900点を超えてくると塗り絵はほぼ必要ありません。
私の話になりますが、980点を取った時は勘で塗った問題は5問程でした。それが全部当たる場合と外れる場合を比較しても、変動幅は最大で20点程度でしょう。

反対に、スコアが下がるほど勘で塗る問題が増えてくるので、運による上下が大きくなってきます。700点レベルの人でも50点程度は上下することを考えれば、400~500レベルの人なら100点以上変動しても驚くことはないと思います。

TOEICはいろんなスコア帯でそれぞれ壁があると言われますが、800の壁や900の壁がそれまでの壁より高く感じられるのは、上振れを起こして実力以上のスコアが出た、という幸運を頼ることが出来なくなってくるからでしょう。
安定して満点を取ろうなんて思ったら、一問たりとも勘で塗っててはいけませんからね。

TOEICのスコアをどう受け止めるか

さて、ここまでTOEICではスコア変動が起こる理由を詳細に述べてきましたが、その変動があることを踏まえて結局スコアをどう受け止めればよいのか、私的な考えをお伝えしたいと思います。

まずスコアが良くなった場合ですが、その際は素直に喜びましょう。それが例え5点アップでも。
せっかく得点が上がったのに
「こんな程度のスコアアップは誤差。実力は何も上がってない」
などと卑屈になる必要はありません。
上で述べたような小難しい点数変動の可能性なんて考えずに
「やった!スコアアップ!次もまた頑張るぞ!」
前向きに受け止めればそれでOKです。

そしてスコアが悪くなってしまった場合。
まずは短絡的に落ち込んでしまうのを止めましょう

スコアは落ちたけど、それは実力と関係ない部分かも
と考えて、自分を責める前に冷静になりましょう

そして気持ちが落ち着いたらテスト当日のことを振り返り、成長を感じた部分を探してみましょう
「リスニングは前回より聞き取れる単語が増えた気がした」
「前回はラスト25問塗り絵だったけど、今回塗り絵は20問になった」
などなど。勉強をして臨んだなら、何らかの手応えの変化は感じたはずです。

ほんの少しでも前回と違う感触を得られたなら、それは立派な成長です。
「運が悪くて得点は下がったけど、狙って当てた問題は増えたかも」
と、得点そのものは気にせずに、成長した部分を自分自身で評価してあげましょう

内容に褒める箇所がどうしても見つけられないなら、TOEICを受験した自分をまず褒めてあげましょう。わざわざお金を払って申し込み、プライベートの時間を犠牲にして勉強し、休日を潰して受験しに行った。これだけで素晴らしいことだと思いませんか?

いずれにせよ大切なことはTOEICの試験後も英語勉強を継続することです。
スコアが上がったことに満足してそこで勉強を止めてしまっては、それまでの努力も無駄になってしまいます。
下がったとしても、そこから反省を得て更に努力をすれば、必ず成長に繋がります。

スコアは今の自分の実力を確認する為の一つの目安です。
また、二度目、三度目の受験なら、前回からの自分の勉強が正しかったのか、どれだけ成長したのかを計る指標にもなります。上がれば勿論嬉しいし、高スコアなら社会的な評価が上がることもあります。

しかし、英語学習をされている方の多くの目標は
英語を自在に使えるようになることだと思います。
TOEICはそれに近づく手段であったり、勉強のモチベーションを上げるきっかけに過ぎず「スコアアップこそが最終目標だ!」と考えている方はあまりいないのではないでしょうか?
(「就活・昇進などの為に、必要スコアさえ取れれば良い」というケースはあるかもしれませんが…)

と考えると、たった一回のTOEICのスコアに一喜一憂して勉強が疎かになってしまったり、ましてそこで英語学習が自体を止めてしまったりするのは本末転倒と言えるでしょう。
繰り返しになりますが、大切なことは学習を継続することです。

「スコアが下がってヤル気が無くなった」という方を何人も目の当たりにして、非常に勿体ないと思い今回の記事を書く気持ちになりました。
今まさにそういう気持ちで、勉強に気が乗らない方がもしこの記事を読まれたら、
「そうか。あれは運が悪かっただけで、実力は成長してるはずだ
と考え直して、少しでもポジティブに勉強に向かっていただければ非常に嬉しく思います。

プロ家庭教師&オンライン英語講師として関西で活動。
皆さんの学習(主に英語)に役立ちそうな情報を発信していきます。
英語関係保有資格「英語検定一級/通訳案内士/TOEIC980」
twitter→https://twitter.com/Yuya92345039

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